「宿題しなさい」「お風呂入って」「片付けて」
何度言っても動かない。ランドセルすら開かない。ぼーっとリビングにいる。
「この子、やる気がないのかな」「サボってるのかな」って、思っていませんか。
わたしも現場でずっとそう見えていた子たちがいました。でも、関わり続けていくうちに気づいたんです。
これって、やる気の問題じゃないのでは?
「だらだら」って何?
「だらだら」をひとことで言うと、
何をどこから始めればいいか見通しが持てず、行動開始のスイッチがうまく入らない状態のことです。
さぼってるんじゃない。やる気がないんじゃない。
「何をすればいいかが、頭の中でうまく整理できていない」だけなんです。
大人を困らせてやろうとか、反抗しているわけでもない。本人が一番困っていることが多いんです。
背景にある「認知機能」のこと
「宿題やりなさい」と言われたら、あなたの頭の中ではこんな処理がされませんか?
①今日の宿題なんだっけ? ②連絡帳見ないとな〜 ③ランドセルとってこよ〜
④今日は音読と計算ドリル24ページか ⑤計算面倒だから音読からやるかぁ
というような脳内会議が意識することなく始まり、それに沿った行動をしていきます。
これが定型発達的な「見通し」です。
しかし、見る力・聞く力、そしてそれらを補完する想像する力——これらが弱いと、指示を受けても「まず何をすればいいか」の見通しが持てません。
わたしたちが言葉で伝えた情報が、その子にはキャッチ出来ていないことが多いんです。
宿題を始めるには、何を用意する?教材はどこにある?机が物がいっぱいだけど、どこでやればいい?この、視覚や聴覚から入ってきた情報に対して「じゃあこうしよう!」が、頭の中でうまくまとまらないんです。
だから何度注意しても積み重ねがしにくい。叱るたびに「またできなかった」とくり返す。それは意志の問題じゃなくて、情報を整理する力にアンバランスがあるから、なんですよね。
現場で起きたこと
スクールアシスタントの仕事をしていると、忘れられないエピソードがあります。
別室登校をしていた中学2年生の子が、国語の授業で重松清さんの『タオル』という作品の感想文を書く課題に取り組んでいました。
一生懸命、何度も物語全体を読み込んでいたのですが、15〜20分経っても1文字も書けずにいました。「何か困ってる?」と聞くと「わかんない…」といいます。
そこでわたしが声をかけたのこの3つ!
①「登場人物は何人出てきたかな?」②「その中で好感を持った人はいる?」
③「その人のどんなところが好きだなぁと思った?」
たったそれだけ。物語全体から登場人物に注目してみるという思考のポイントを
一つに絞っただけです。
するとその子は、2〜3分で書き上げました。
その子は「書きたくない」んじゃない。「書けない」んでもない。問われていることに対して、思考のピントがぼやけてしまって、どこから手をつければいいかわからなくて止まっていた。わたしがしたのは、そのピント合わせを手伝っただけなんです。
現場で見てきた「だらだら」のリアル
学校等集団生活での場面
- 指示をされても、やらない・動けない
- 始めるまで、ものすごく時間がかかる
- 会話のテンポが遅く、質問にあった答えが返せない
家庭での場面
- 「片付けて」が伝わらない
- お風呂に入る、お出かけする等の準備ができない
- 声をかけられてもフリーズして返答出来ないことが多い
どうですか?「あ、うちの子もこれだ」と思った場面はありませんでしたか?
つまずきポイントを探すと「できる!」が見つかる
だらだらに見える子のつまずきは、その子によって違います。指示の規模が大きすぎてわからない子、耳から入る情報がうまく処理できない子、目から入る情報の整理が苦手な子——どこにつまずきがあるかは、その子次第。
でも、丁寧に探していくと「これならできる!」という場面が必ず見つかります。それを見つけたときの、子どもの表情の変わり方。わたしはその瞬間がたまらなく好きです。
今日から試せるヒント——指示をとにかく「小さく・具体的に」
難しいことは何もしなくていいです。まず指示を一つに絞って、超具体的にするだけ試してみてください。
| 今まで | 変えてみる |
|---|---|
| 「宿題やりなさい」 | 「今日の宿題は何か一緒に連絡帳見てみよう!」 |
| 「片付けて」 | 「その消しゴムのおうちはどこかな?」 |
| 「お風呂入って」 | 「まず脱衣所に行けたら1つクリア!」 |
「全部やらなきゃ」じゃなくて、「これだけでいい」にする。それだけで、止まっていた子どもが動き出すことがあります。
まとめ
- 「だらだら」はやる気がない・サボってるんじゃない
- 何をどこから始めればいいかの見通しが持てない状態
- 見る力・聞く力・想像する力のアンバランスが背景にある
- つまずきポイントはその子によって違う。でも「できる!」は必ず見つかる
- まず指示を一つに絞って、超具体的にしてみよう
そしてもう一つ、大切なことを。
完璧を求めなくていいんです。
最初から子どもが一人で100%できなくていい。大人が8割介入しながら一緒にやれたなら、それで十分。これは「甘やかし」じゃなくて、認知機能を育てるトレーニングだと思ってほしいんです。
「できた」の体験を、子どもたちと一緒に共有できる幸せを積み重ねていきましょ!
少しずつ「一人でできる」につながっていきます。焦らなくて大丈夫です。
音声でも話しています🎙️
この内容、stand.fmでもゆっくりお話ししています。家事しながら・お迎えの車の中で・寝かしつけのあとに、ぜひ聴いてみてください。

コメント